日本大百科全書(ニッポニカ) 「サノフィ・アベンティス」の意味・わかりやすい解説
サノフィ・アベンティス
さのふぃあべんてぃす
Sanofi-aventis S.A.
フランスのパリに本社を置くグローバル・ヘルスケア企業。2010年度『フォーチュン』誌(アメリカの経済誌)のグローバル500社のランキングでは第169位、処方箋(しょほうせん)による薬品販売では世界で第4位の規模を誇る。この企業は、2004年にサノフィ・サンテラボSanofi-SynthélaboがアベンティスAventisを吸収合併してサノフィ・アベンティスとして誕生した。最初、サノフィ・サンテラボは478億ユーロで敵対的買収を試みたが、アベンティスは評価額が低いという理由でそれを拒否。しかしフランス政府の後押しもあって、サノフィ・サンテラボが545億ユーロの買収提案に変更して、両企業の合併が実現した。なお、サノフィ・サンテラボは、1973年創立のサノフィと、1970年に創立され3年後にロレアルによって買収されたサンテラボとが1999年に合併して成立した企業であり、他方、アベンティスは、1999年にフランスのローヌ・プーランとドイツのヘキストが合併して誕生した企業であった。
薬品の研究開発、製造、ヘルスケア製品のマーケティングで強い競争力を有しており、とくに循環器疾患、血栓症、代謝性疾患、癌(がん)、中枢神経系疾患、内科系疾患、ワクチンの分野に特化している。主力ブランドとしては、ランタスLantus、プラビックスPlavix、タキソテールTaxotere、アプロベルAprovel、エロキサチンEloxatin、アピドラApidra、マルタクMultaqなどがある。
2009年度の連結売上高は293億0600万ユーロであり、その内訳は、医薬品事業258億2300万ユーロ、ワクチン事業34億8300万ユーロとなっている。研究開発費には総売上げの15.6%が投入されている。世界110か国に生産・営業拠点をもち、10万5000人の従業員を擁している。
日本には、東京に本社を置くサノフィ・アベンティス株式会社があり、全国で約3000人の社員を擁している(2009)。循環器疾患、血栓症、代謝性疾患、癌、中枢神経系疾患、内科系疾患関連の医療用医薬品の研究開発、製造・販売を行っている。
[湯沢 威・田村隆司]