日本大百科全書(ニッポニカ) 「ローヌ・プーラン」の意味・わかりやすい解説
ローヌ・プーラン
ろーぬぷーらん
Rhône-Poulenc S.A.
フランスを代表する医薬・化学会社。1999年12月、ドイツのヘキスト社と合併し、アベンティス(現サノフィ・アベンティス)となった。
ローヌ・プーランは1928年、リヨンのローヌ化学会社(1895年設立)が、パリの医薬品会社プーランク兄弟社(1827年設立、1858年から医薬品に進出)を吸収して成立した。ドイツの化学企業が圧倒的な競争力をもっていたため、当時、黎明期(れいめいき)にあった合成繊維や医薬品の開発が事業活動の中心となる。第二次世界大戦後は、医薬品事業へ傾斜していたが、1961年、繊維企業セルテックス買収を契機に持株会社に改組、以後、フランス政府の要請もあり企業買収により急速に多角化していった。フランス国内では高いシェアを誇っていたものの、欧州共同市場(ヨーロッパ経済共同体)の成立に伴う関税引下げにより国際競争に直面し、業績が徐々に悪化、海外進出にも遅れたところから1970年代なかばには経営危機に直面した。そのため、石油化学や肥料から撤退し、医薬品、動植物薬および応用化学製品の三つの事業を柱として組織再編に取り組むことになった。1982年、社会党政権により国有化されたことにより、組織再編が加速するとともに、外国企業の買収によって積極的に海外市場の開拓にも取り組んだ。1993年に民営化されたころには業績も安定し、海外売上高が80%を超えるまでになった。また、企業活動を先端分野へ集中させるために大幅な組織再編に取り組み、1997年、化学製品部門を子会社化してローディアRhodiaを設立した。その後、生命科学(ライフサイエンス)事業の統合を目ざしてドイツのヘキスト社に対して株式公開買付けによる買収を提案、1999年12月に買収・合併が完了した。その結果、ローヌ・プーラン、ヘキストの両社名が消滅し、新社名アベンティスというライフサイエンス事業で世界最大規模の企業が誕生した。合併前の1998年度のローヌ・プーラン・グループの売上高は約868億フラン(132億ユーロ)、従業員数は6万8000人であった。
[小澤一男]