日本大百科全書(ニッポニカ) 「サヤヌカグサ」の意味・わかりやすい解説
サヤヌカグサ
さやぬかぐさ / 鞘糠草
[学] Leersia sayanuka Ohwi
イネ科(APG分類:イネ科)の多年草。根茎は横にはう。稈(かん)は高さ約50センチメートル、分枝して斜上する。葉は線状披針(ひしん)形で長さ10センチメートル、幅1センチメートル、表裏両面ともざらつく。8~10月、稈頂に長さ約10センチメートルの円錐(えんすい)花序をつける。分枝は細く、先端は垂れ下がる。花序の基部は葉鞘(ようしょう)に包まれて、閉鎖花になることが多い。小穂は線状長楕円(ちょうだえん)形で左右扁平(へんぺい)、長さ約6ミリメートル、短い縁毛があり、イネの籾(もみ)に似る。包穎(ほうえい)は退化する。水田や湿地に群生し、北海道南西部から九州、および朝鮮半島、中国に分布する。名は、イネに似ながら米がとれず、籾殻しかないためについた。
[許 建 昌 2019年8月20日]