サン・カルロ・アレ・クァトロ・フォンターネ聖堂(読み)サン・カルロ・アレ・クァトロ・フォンターネせいどう(その他表記)San Carlo alle Quattro Fontane

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 の解説

サン・カルロ・アレ・クァトロ・フォンターネ聖堂
サン・カルロ・アレ・クァトロ・フォンターネせいどう
San Carlo alle Quattro Fontane

イタリア,ローマにあるバロック聖堂。 F.ボロミーニが建築家として独立後最初に手がけた作品。修道院部分は 1634年に,聖堂は 38年に着手。 46年の献堂であるが,ファサードは 62~67年に建造された。楕円形平面を縦に使い,一定のリズムをもってうねる曲面の壁の上に,透視図法の応用で実際よりも高く見える,十字と八角を組合せた幾何学文様のドームをいただく。初期の作品ながら完成度の高い作品で,革新的なアイデアが随所に読取れる。ボロミーニの晩年に工事が始ったファサードは,2年後彼が自殺したため完全に彼の構想によるものではないが,波打つような曲面は彼の構想力を十分にうかがわせる。

出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報

世界大百科事典(旧版)内のサン・カルロ・アレ・クァトロ・フォンターネ聖堂の言及

【ボロミーニ】より

ベルニーニと並んでイタリア・バロック盛期を代表する大建築家。ベルニーニと彼は,その生涯,気質から作品の傾向にいたるまでまったく対照的であり,互いに相手を快く思わない同世代のライバルであった。彫刻家でもあるベルニーニはたくみに光をあやつり,その豪奢(ごうしや)な空間に建築,絵画,彫刻を統合したが,ボロミーニは純粋な空間の形態そのものの追求へと向かい,のちにアルプス北方の諸国に大きな影響を与えることになるバロックの新しい形態言語を生み出した。…

※「サン・カルロ・アレ・クァトロ・フォンターネ聖堂」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

今日のキーワード

ベートーベンの「第九」

「歓喜の歌」の合唱で知られ、聴力をほぼ失ったベートーベンが晩年に完成させた最後の交響曲。第4楽章にある合唱は人生の苦悩と喜び、全人類の兄弟愛をたたえたシラーの詩が基で欧州連合(EU)の歌にも指定され...

ベートーベンの「第九」の用語解説を読む

コトバンク for iPhone

コトバンク for Android