ボロミーニ(読み)ぼろみーに(英語表記)Francesco Castelli Borromini

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「ボロミーニ」の意味・わかりやすい解説

ボロミーニ
Borromini, Francesco

[生]1599.9.25. ビッソーネ
[没]1667.8.2. ローマ
イタリア盛期バロック時代の最も独創的な建築家。初め石工の修業をし,1620年代後半にローマへ出て C.マデルノ,次いで G.ベルニーニ師事,のちに主任助手となってサン・ピエトロ大聖堂パラッツォ・バルベリーニの建築彫刻を担当。サン・カルロ・アレ・クァトロ・フォンターネ聖堂 (1638~46,ファサードは 1662~67,ローマ) の仕事を機に独立。ファサードの波打つ壁面は小規模ながら流動的で彫刻的効果をもつ。以来典型的なバロック様式を創造。サンティーボ・デラ・サピエンツァ聖堂 (1642~60) では2個の正三角形を組合せた星形を基盤とする独特な建築空間を生んだ。他にオラトリオ・ディ・サン・フィリップ・ネリ (1635~55) ,サン・ジョバンニ・イン・ラテラノ大聖堂の内部改修 (1647~50,ラテラノ) ,ナボーナ広場に面するサンタニェーゼ・イン・アゴーネ聖堂 (1653~57) ,18世紀図書館の基本型となったパラッツォ・デラ・サピエンツァのアレクサンドリーネ図書館 (1665~66) がある。彼の革新的な空間概念は中部ヨーロッパに大きな影響を与え,ベルニーニと並び称される巨匠となった。

出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報

日本大百科全書(ニッポニカ) 「ボロミーニ」の意味・わかりやすい解説

ボロミーニ
ぼろみーに
Francesco Castelli Borromini
(1599―1667)

イタリア盛期バロックの建築家。建築家ジョバンニ・ドメニコ・カステッリの息子として北イタリアのビッソーネに生まれる。ミラノで石工として出発し、1620年ごろローマに出る。まずマデルナにつき、次に後のライバルとなるベルニーニに学び、サン・ピエトロ大聖堂やパラッツォ・バルベリーニで仕事をする。34年最初の作品であるサン・カルロ・アッレ・クァットロ・フォンターネ聖堂を依頼され、波打ち揺れ動く壁体のファサードや幾何学的図形の格間(ごうま)に装飾された楕円(だえん)形のクーポラなどの革新的デザインは、バロック建築を代表する傑作となる。これに続く主要作品には、サンティーボ・デッラ・サピエンツァ聖堂、サンタニェーゼ聖堂などがある。複雑で流動する曲線を強調する大胆で斬新(ざんしん)な創意は、建築に軽快で絵画的な効果を与えているが、そのためかなりの批判を浴びることにもなった。後世のフランスやドイツの建築に大きな影響を与えている。しかし社会的名声はベルニーニに圧倒され、失意のうち67年8月26日、ローマで自らの命を絶った。

[小針由紀隆]

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

今日のキーワード

マイナ保険証

マイナンバーカードを健康保険証として利用できるようにしたもの。マイナポータルなどで利用登録が必要。令和3年(2021)10月から本格運用開始。マイナンバー保険証。マイナンバーカード健康保険証。...

マイナ保険証の用語解説を読む

コトバンク for iPhone

コトバンク for Android