シッフ塩基(読み)シッフえんき(その他表記)Schiff base

改訂新版 世界大百科事典 「シッフ塩基」の意味・わかりやすい解説

シッフ塩基 (シッフえんき)
Schiff base

一般式R1R2C=NR3(R1,R2,R3アルキル基または芳香環)で表される化合物総称。発見者であるドイツのシッフHugo Schiff(1834-1915)にちなんで名づけられ,イミンまたはアゾメチンイミンとも呼ばれている。アルデヒドまたはケトンと第一アミンとの脱水縮合反応により合成され,室温固体のものも知られている(表)。低級脂肪族アルデヒドから生じるシッフ塩基は重合しやすく,三量体として存在する。シッフ塩基は反応性に富み,酸やアルカリで容易に加水分解され,カルボニル化合物とアミンにもどり還元されると容易に第二アミンになる。
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日本大百科全書(ニッポニカ) 「シッフ塩基」の意味・わかりやすい解説

シッフ塩基
しっふえんき
Schiff base

ドイツの有機化学者であるシッフHugo Schiff(1834―1915)が発見した化合物の総称。一般式R1R2C=NR3で示される。アルデヒドまたはケトンと第一アミンを作用させると、水とともに生じる。アゾメチンアニル、イミンなどの別名がある。

 脂肪族炭化水素基をもったものはほとんどが無色液体であるが、芳香族のものは淡黄色の固体となる場合が少なくない。一般に芳香族の誘導体のほうが合成しやすく安定である。酸触媒で容易に加水分解される。生体内におけるアミノ基転移反応でもシッフ塩基が中間体となると考えられている。

[務台 潔]

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化学辞典 第2版 「シッフ塩基」の解説

シッフ塩基
シッフエンキ
Schiff's base

次の一般式で表される化合物の一般名アルデヒドまたはケトン第一級アミンの縮合によって合成される.

出典 森北出版「化学辞典(第2版)」化学辞典 第2版について 情報

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「シッフ塩基」の意味・わかりやすい解説

シッフ塩基
シッフえんき
Schiff base

アゾメチンともいう。一般式 RR'C=NR'' で表わされる化合物で,アルデヒド RCHO またはケトン RCOR' と第一アミン R''NH2縮合させて得られる。

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栄養・生化学辞典 「シッフ塩基」の解説

シッフ塩基


 第一アミンとアルデヒドの間で脱水反応が起こって生成する図に示したアルドイミン.

出典 朝倉書店栄養・生化学辞典について 情報

世界大百科事典(旧版)内のシッフ塩基の言及

【イミン】より

…アンモニアとケトンまたはアルデヒドとの縮合反応によって生ずるが,不安定で,すみやかに加水分解されてアンモニアとカルボニル化合物にもどる。窒素原子に結合している水素原子を炭化水素基Rで置換した化合物C=N-Rはシッフ塩基というが,これもイミンに含めることが多い。なお,飽和環式第二アミンをイミンと呼ぶことがある(たとえば,アジリジンをエチレンイミンと呼ぶなど)。…

※「シッフ塩基」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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