改訂新版 世界大百科事典 「シャイシュナーガ朝」の意味・わかりやすい解説
シャイシュナーガ朝 (シャイシュナーガちょう)
Śaiśunāga
古代インド,マガダ国の王朝。ヒンドゥー教のプラーナ文献によると,シシュナーガŚiśunāgaによって創始され,10王360年間つづいたのち,ナンダ朝(前4世紀半ば)に滅ぼされたという。この10王のなかにはブッダ(仏陀)を保護したことで名高いビンビサーラ(第5代),アジャータシャトル(第6代)の父子も含まれている。一方,スリランカ仏教徒の伝える史書《マハーバンサ(大史)》によると,ススナーガ(シシュナーガ)はアジャータシャトルの4代あとの子孫に代わって新王朝を創始した人物とされる。彼の王統は,その子カーラーソーカとその10子の治世を合わせ68年間つづいたのち,ナンダ朝と交代したという。このように伝承間に大きな差があるが,仏教伝承を採る史家の方が多い。
執筆者:山崎 元一
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報