改訂新版 世界大百科事典 「シャニダール」の意味・わかりやすい解説
シャニダール
Shanidar
イラク,西ザグロス山系にある洞窟の名称で,1953-60年にソレッキR.Soleckiによって9体のネアンデルタール人骨が発掘され,遺跡と人骨の名称となった。人骨の形態は,ヨーロッパのネアンデルタール人とはやや違い,イスラエルで後に発見されたアムッド人と似ている。1号成人男性人骨には,顔面および腕に重篤な外傷の痕が見られ,介護が行われたといわれる。4号成人男性人骨とともに多量の花粉が発見され,花を供えたといわれたが,疑問とする意見も多い。年代は約5万年前と報告されている。ルバロワ技法によるムスティエ文化の石器が大量に見つかっている。
→アムッド →ホモ・ネアンデルタレンシス →ラ・シャペロー・サン
執筆者:馬場 悠男
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報