アムッド(その他表記)Amud

改訂新版 世界大百科事典 「アムッド」の意味・わかりやすい解説

アムッド
Amud

イスラエル,ガリラヤ(ティベリアス)湖にそそぐアムッド川中流,谷底から30m上方の崖にある洞窟遺跡。アムッドは塔のことであり,洞窟のそばに岩の塔があることに由来している。遺跡は,先行調査をした渡辺仁によって発見され,1961年と64年に鈴木尚を隊長とする東京大学西アジア洪積世遺跡調査団が,数体のネアンデルタール人骨(アムッド人)を発掘した。人骨は,鈴木尚,遠藤萬里,木村賛,佐倉朔によって研究され,報告書が作られた。1号壮年男性人骨は,横を向き脚を軽く曲げて埋葬されていた。ヨーロッパのネアンデルタール人と比べると,身長が高く(175cm),頭蓋腔容積(脳容積より10%ほど大きいので注意)が大きく(1740ml),歯が小さく,顎先(オトガイ)がわずかに隆起するなどの特徴をもつ。かつて,これらは進歩的特徴と見なされ,ネンデルタール人がホモ・サピエンスへ進化した証拠といわれたが,現在では否定されている。おそらく,温暖な気候への適応の結果であろう。ただし,2010年にネアンデルタール人のゲノム解析により,ネアンデルタール人とサピエンスとの混血が具体的に指摘されたので,今後,サピエンスとの混血による影響も検討する必要がある。年代は,最近の電子スピン共鳴法で約4万年前と報告されている。石器は,渡辺によるとルバロワ技法のムスティエ文化。
→ホモ・ネアンデルタレンシス →ラ・シャペロー・サン
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