シュウ酸カルシウム(読み)シュウサンカルシウム

化学辞典 第2版 「シュウ酸カルシウム」の解説

シュウ酸カルシウム
シュウサンカルシウム
calcium oxalate

CaC2O4(128.10).鉱石として,天然にヒューエライト(whewellite)(一水和物),ウェデライト(weddellite)(二水和物)がある.カルシウム塩の水溶液にシュウ酸アンモニウムを加えると一水和物が得られる.これを約250 ℃ で乾燥すると無水物が得られる.二水和物は正方晶系,一水和物は単斜晶系であり,Caは8個のO原子で正方ねじれプリズム型に囲まれている.Ca-O2.4~2.5 Å.無水物は立方晶系.密度2.2 g cm-3(4 ℃).HCl,HNO3に可溶.水,酢酸に難溶.水ではKsp 2.5×10-9 mol2 dm-6(25 ℃).カルシウムイオンおよびシュウ酸イオンの定性・定量分析に利用される.陶器うわぐすり,希土類分離の担体などに用いられる.[CAS 563-72-4]

出典 森北出版「化学辞典(第2版)」化学辞典 第2版について 情報

栄養・生化学辞典 「シュウ酸カルシウム」の解説

シュウ酸カルシウム

 シュウ酸のカルシウム塩で,この形の塩は生体にとってカルシウムの利用性(生物的有効性)は低いとされる.

出典 朝倉書店栄養・生化学辞典について 情報

世界大百科事典(旧版)内のシュウ酸カルシウムの言及

【シュウ酸(蓚酸)】より

…ある種の菌類,二枚貝の外套膜,人間の尿中にも少量含まれて,尿中のシュウ酸量が増加する症状はシュウ酸塩尿と呼ばれている。シュウ酸は多量に摂取すると,人体からカルシウムを奪い不溶性のシュウ酸カルシウムCaC2O4となり,尿路結石の原因ともなる。酸化の最終産物であるので,特殊な微生物のほかは代謝できない。…

【有毒植物】より

…イラクサは折れて皮膚内に残った刺毛からアセチルコリンやヒスタミンが放出されるため,はれやかゆみをひきおこす。ヤマノイモ,サトイモ,カラスビシャク,マムシグサなどの根茎にはシュウ酸カルシウムの鋭くとがった針状結晶が存在し,皮膚を刺激し炎症をおこす。コンニャク,キーウィフルーツでも同じ現象がみられるが,原因をシュウ酸カルシウムだけとする説には疑問がある。…

※「シュウ酸カルシウム」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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