日本大百科全書(ニッポニカ) 「シラス台地」の意味・わかりやすい解説
シラス台地
しらすだいち
シラスからなる台地。南九州の鹿児島県を中心に、熊本県南部、宮崎県南部にも分布する。台地面はきわめて平坦(へいたん)で、鹿児島県の十三塚原(じゅうさんつかばる)、春山原(はるやまばる)、須川原(すかわばる)、笠野原(かさのはら)などのように、○○原(ハラ、バル、ハイなど)とよばれる。鹿児島湾内の姶良(あいら)カルデラから2万5000年前に噴出した入戸(いと)火砕流堆積(たいせき)物からなる台地がとくに広く残されており、その台地上には霧島山、桜島などからの火山灰が厚さ数メートル堆積している。樹枝状の開析谷(侵食谷)が発達している台地には地表水流が乏しく、地下水位が低いために、水不足に悩まされてきた。台地崖(だいちがい)は高さ数十メートルから200メートルの急崖になっていて、豪雨時には表流水、地下水による崖(がけ)崩れが多発する。
[池田 宏]
『横山勝三著『シラス学 九州南部の巨大火砕流堆積物』(2003・古今書院)』