急勾配(こうばい)の自然斜面が豪雨や地震などの作用により突発的に滑落する現象。崖崩れの多くは海岸段丘や河岸段丘のような段丘崖(がい)にみられ、一般に浅い表層崩壊である。どのような地質でもおこりうるが、花崗(かこう)岩の風化したマサ土地帯や火山噴出物のシラス地帯は崖崩れの危険度が高い。崖崩れを引き起こす水は表層近くを流れる中間流で、比較的短時間の強雨がもっとも影響する。数は少ないが、長時間の総雨量に対応して発生する崖崩れもある。崖周辺における人間の活動が崖崩れに及ぼす影響も見逃せない。たとえば、崖上部の台地に農地や住宅団地がある場合など、そこでの排水処理のまずさが崖崩れの原因となることもあるので注意が必要である。「急傾斜地の崩壊による災害の防止に関する法律」(1969)によって、傾斜角が30度以上の自然斜面で、斜面の直高が5メートル以上、かつ人家5戸以上または公共建物に著しい被害を及ぼすものを対象として対策事業が進められている。
[芦田和男・水山高久]
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報
…(2)隆起・沈降 上下方向に生じる地盤の変位である。(3)地すべり,山崩れ,崖崩れ,山津波 地盤が徐々に崩れる現象が地すべりである。それが,傾斜地などで突然的に生じれば山崩れあるいは崖崩れとなり,さらに,谷間などでそれらが大規模に発生すれば山津波となる。…
…またごく表層の土層や,大きな岩塊が混じっていない岩屑層の崩壊を土砂崩れ,火山灰やシラスなどの火山噴出物に覆われた台地のへりや段丘崖のように,高さの低い崖や斜面の崩壊と,道路や宅地造成地など人工的な切取り面の崩壊は,崖くずれと呼んで区別することが多い。人里離れた山地内で発生するものを山崩れ,山間の住宅地の裏山や道路わきの斜面崩壊を土砂崩れ,市街地の比較的小規模なものを崖崩れということもあるが,これは人間生活との関係からみた分類というよりも,むしろ斜面の土地利用を反映したものと考えた方がよい。例えば崖崩れは,第2次大戦前までほとんど問題にならなかったが,その後自然条件を無視した無理な開発にともなって,東京,横浜を中心に関東ローム層に覆われた台地のへりや段丘崖,南九州のシラス台地の崖に多発して,しばしば災害をもたらしている。…
※「崖崩れ」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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