日本大百科全書(ニッポニカ) 「シリーズ広告」の意味・わかりやすい解説
シリーズ広告
しりーずこうこく
series advertising
一つのテーマや商品を題材とし、訴求内容を発展させながら、一定期間連続して同一の新聞や雑誌に順次広告を掲載したり、テレビCMを長期にわたって継続する手法の広告をいう。新商品を市場に定着させたり、あるいは成長過程にある商品のマーケットをさらに拡大したり、ロングラン・ブランドを育成していく場合に展開される。数回で終わるシリーズ広告もあれば、何年間も続けられるものもある。いずれにしても、キャンペーンが長期に及ぶため、その効果は大きく、当該企業や商品のファンづくりをすることができる、という特徴がある。しかも、連続して掲載した広告を集録し、小冊子にまとめ、各方面へ配布することによって、広告の増幅効果をねらう例も多い。例としてはサントリー株式会社の「私の書斎」(月刊誌)、「愛鳥」(全国紙)がある。いずれも活字媒体の企画として好評を博した。また、ロングランを続けているネスレ日本のシリーズ広告は有名である。1970年代に始まった「ネスカフェ・ゴールドブレンド」の「違いがわかる男」シリーズは16年間続き、1991年(平成3)からは「上質を知る人」シリーズとして復活、2000年から「違いを楽しむ人」シリーズとなり、25年以上シリーズCMを流し続けている。その根幹にある継続性continuityと首尾一貫性consistencyというブランド・エクィティ(ブランド資産)の醸成(じょうせい)を重視した同社の確固とした広告哲学をかいまみることができる。
[伊藤誠二]