日本大百科全書(ニッポニカ) 「シンレントウフ」の意味・わかりやすい解説
シンレントウフ
しんれんとうふ / 杏仁豆腐
アンズの種子の仁(じん)でつくった寄せ物。杏仁(きょうにん)豆腐とも称している。ほろ苦い杏仁の香りが口中をさわやかにするので、中国料理の点心として用いられる。材料は、杏仁70グラム、水2分の1カップ、寒天2分の1本、水1.5カップ、砂糖30グラムと、別にシロップ用として砂糖70グラム、水1カップ。作り方は、杏仁に温湯をかけ蓋(ふた)をして10分くらい置いて、薄皮を除きよくすりつぶしてから2分の1カップの水でのばし、布で漉(こ)して白い汁を絞り取る(絞りかすは捨てる)。別に定量の水で煮溶かした寒天汁に砂糖を加えて漉した汁に、前記の杏仁の絞り汁を加える。これをひと煮立ちさせたら、食卓に出す器に全部流し入れて冷やし、固める。固まったら器の中で菱(ひし)形に包丁を入れて切り、周りから冷たいシロップを静かに流し入れると、白い豆腐が浮き上がる。粒の杏仁のないときは、市販の杏仁霜(シンレンショワン)(杏仁粉(シンレンフェン))を用いるとよい。杏仁霜大さじ3に、2分の1カップの水を少しずつ加えて滑らかにのばし、布で漉してから用いる。また、牛奶豆腐(ニウナイトウフ)(牛乳豆腐)をつくり、杏仁のエッセンスを少量加えて、冷やし固めたものを使ってもよい。
杏仁豆腐を供するとき、シロップにブドウや黄桃など季節の果物を加えると、彩りよく美しい仕上がりになる。
[野村万千代]