杏仁(読み)キョウニン

デジタル大辞泉 「杏仁」の意味・読み・例文・類語

きょう‐にん〔キヤウ‐〕【×仁】

アンズの種子。漢方鎮咳ちんがい去痰きょたん薬にする。あんにん。

あん‐にん【×仁】

きょうにん(杏仁)

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精選版 日本国語大辞典 「杏仁」の意味・読み・例文・類語

きょう‐にんキャウ‥【杏仁】

  1. 〘 名詞 〙 アンズの核の中にある胚を乾燥したもの。薬用脂肪油、配糖体アミグダリンなどを含み、杏仁油杏仁水原料となる。
    1. [初出の実例]「茶子者。〈略〉海苔・干棗・杏仁・干松茸」(出典:新札往来(1367)上)
    2. [その他の文献]〔本草綱目‐果部・杏・核仁・修治〕

あん‐にん【杏仁】

  1. 〘 名詞 〙 ( 「あん」は「杏」の唐宋音。「にん」は「仁」の呉音 ) アンズの種の中の肉。薬用にする。きょうにん。
    1. [初出の実例]「杏仁 アンニン」(出典:伊京集(室町))

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漢方薬・生薬・栄養成分がわかる事典 「杏仁」の解説

きょうにん【杏仁】

漢方薬に用いる生薬(しょうやく)の一つ。バラ科アンズの種子を乾燥させたもの。鎮咳(ちんがい)去痰(きょたん)の作用があり、気管支炎喘息(ぜんそく)などに用いる。感冒肺炎気管支喘息に効く麻黄湯(まおうとう)、気管支炎、小児喘息に効く麻杏甘石湯(まきょうかんせきとう)、気管支炎、気管支喘息に効く苓甘姜味辛夏仁湯(りょうかんきょうみしんげにんとう)などに含まれる。また、あんず酒は疲労回復に効く。

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岩石学辞典 「杏仁」の解説

杏仁

火成岩(主に火山岩)のガスによってできた空洞が,その後のマグマ活動後期の残液から形成された鉱物で充填されたもの.充填する物質にはゼオライト,緑泥石,蛋白石,カルセドニイ,方解石などがある[McLintock : 1915].ギリシャ語のamygdalonはアーモンド(almond)のことで,杏仁(きょうにん)と訳す.杏仁は杏子(あんず)の実の種子を乾かしたもので,形が似ていることから命名された.

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普及版 字通 「杏仁」の読み・字形・画数・意味

【杏仁】きよう(きやう)にん

あんずの核の中の肉。薬に用いる。〔斉民要術、四、種梅杏〕種を栽うること、桃李と同じ。~杏子の人(仁)は、以て粥(かゆ)と爲すべし。

字通「杏」の項目を見る

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「杏仁」の意味・わかりやすい解説

杏仁
きょうにん

アンズ

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世界大百科事典(旧版)内の杏仁の言及

【アンズ(杏)】より

…果実は生食のほか,乾果,シロップ漬,ジャム,果実酒の原料などに利用される。種子は杏仁(きようにん)といい,咳止めや喘息の漢方薬とされるが,青酸配糖体(アミグダリンamygdalin)を含むので専門家の指導によって服用する。杏仁からとった杏仁油は軟膏や毛髪油などに用いられる。…

【漢方薬】より

…(e)附子 致死毒性のほか,熱感,ほてり,発汗。(f)杏仁(きようにん),桃仁 含有成分のアミグダリンは消化管内で青酸を遊離するので,多量では青酸中毒による致死毒性を示す。(3)誤治と瞑眩(めんげん) 誤治とは,漢方の治療原則に従わずに薬物を用いたことによる病状の悪化を意味する。…

【中国料理】より

… 白瓜子カボチャの種子を塩漬けにして干したもの。 杏仁(きようにん)アンズの種子の中の実を干したもの。 粉糸春雨(はるさめ)。…

※「杏仁」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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