ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「ジェズース」の意味・わかりやすい解説
ジェズース
Jesus, Frei Tomé de
[没]1582.4. モロッコ
ポルトガルの宗教家。父が国王ドン・ジョアン3世の財務官,兄たちが神学者や歴史家という知的な家庭に生まれ,10歳でアウグスチノ会のルイス・デ・モントーヤ修道士を家庭教師として迎え,彼の影響で 15歳で同修道会に入る。のちコインブラ大学で哲学と神学を学び,非凡な説教者となった。 1578年,国王ドン・セバスティアンのモロッコ征服遠征軍に参加,敗北後,他の兵士と同様,モーロ人 (北アフリカのイスラム教徒) の捕虜となった。その間,『イエスの御業 (みわざ) 』 Trabalhos de Jesus (2巻,1602,1609) を,地下牢でかすかな光を頼りに書いたといわれる。やがて身代金が支払われ,釈放されたが,病のため,また布教者としての情熱から帰国を拒否,他の捕虜たちを慰める仕事を選び,同地で没した。
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