日本大百科全書(ニッポニカ) 「ジェルミ」の意味・わかりやすい解説
ジェルミ
じぇるみ
Pietro Germi
(1914―1974)
イタリアの映画監督、俳優。ジェノバ生まれ。使い走りのボーイをはじめ各種の職業を体験、商船学校を中途退学、ローマに出て映画実験センターで学ぶ。アレッサンドロ・ブラゼッティの助監督を務め、処女作『証人』(1945)を経て、シチリアの寒村を背景にマフィアの暴力に抗する判事の活動を描いた『無法者の掟(おきて)』(1949)は、ネオレアリズモの地方主義映画の代表作であった。『鉄道員』(1956)、『刑事』(1959)は、庶民の生活の哀歓を素朴なメロドラマで描き、カルロ・ルスティケリのテーマ音楽で歌い上げた。俳優としての彼自身の演技力にも負う部分が大きい。『イタリア式離婚狂想曲』(1961)以降は風刺喜劇の味を加えた。
[鳥山 拡]
資料 監督作品一覧
証人 Il testimone(1945)
無法者の掟 In nome della legge(1949)
越境者 Il cammino della speranza(1950)
街は自衛する La città si difende(1951)
嫉妬 Gelosia(1953)
鉄道員 Il feroviere(1956)
わらの男 L'uomo di paglia(1957)
刑事 Un maledetto imbroglio(1959)
イタリア式離婚狂想曲 Divorzio all'italiana(1961)
誘惑されて棄(す)てられて Sedotta e abbandonata(1963)
蜜がいっぱい Signore e Signori(1965)
ヨーロッパ式クライマックス L'immorale(1967)
アルフレード アルフレード Alfredo, Alfredo(1972)