1956年製作のイタリア映画。ピエトロ・ジェルミが監督、主人公も自演したホームドラマ。鉄道機関士のアンドレア(ジェルミ)は末っ子のサンドロ(エドアルド・ネヴォッラEdoardo Nevola、1948― )にとっては自慢の父親だったが、年頃の兄や姉にとっては頑固なわからず屋にしかみえなかった。ある鉄道事故がきっかけで、アンドレアは酒におぼれ始め、子どもたちも離れていくが、病の床に倒れたクリスマスには、家族がふたたび結集することになる。鉄道ストライキのような労働問題にも触れつつ、父親の失墜を末っ子の視点からしみじみと描くことに成功している。映画実験センターで演技を学んだジェルミは、初老の労働者役を好演しただけでなく、子役にも的確な演技指導を与えている。
[西村安弘]