ジャマン干渉計(読み)じゃまんかんしょうけい

日本大百科全書(ニッポニカ) 「ジャマン干渉計」の意味・わかりやすい解説

ジャマン干渉計
じゃまんかんしょうけい

フランスの物理学者ジャマンの考案した干渉計で、ガス体の屈折率の測定などに用いられる。の(1)のように、主要部は均質なガラスでつくられた厚い2枚の平行平面板P1、P2で、両者を結ぶ線に対して45度傾けて置かれている。この線に垂直な方向に光源が置かれ、それを出た光はガラス板P1の表面で反射光と屈折光に分けられ、さらにガラス板内に入った光もその裏面で反射され、表面反射でできた光束(1)に平行な光束(2)をつくる。二つの光束はガラス板P2で、P1とは逆の反射、屈折を経たあと表面で合流した光束をつくるが、このときの干渉によってつくられた干渉縞(じま)が望遠鏡Tで観測される。P2とP1が平行位置からわずかにずれていると、等厚干渉縞がみられる。中央の光路(1)、(2)に同じ構造のガスセルC1、C2を挿入しておくと、もし両者のガスの屈折率に差ができると干渉縞が移動する。波長をλ(ラムダ)、セルの長さをl、ガスの屈折率をnとする。最初両セルにガスを詰め、次に一方のセルを真空にしたときの縞の移動数をm本とすると、
  λm=(n-1)l
の関係がある。これによって、ガスの屈折率を正確に測定することができる。それゆえ、ジャマン干渉計は干渉屈折率計ともよばれている。

 ジャマン干渉計では、分離した二つの光束をあまり大きく離すことができない。この欠点をなくするために、平面反射鏡を挿入しての(2)のようにしたものをマッハ‐ツェンダー干渉計という。

[尾中龍猛]

『D・マラカラ著、成相恭二・清原順子・辻内順平訳『光学実験・測定法』Ⅰ、Ⅱ(2010・アドコム・メディア)』


出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

世界大百科事典(旧版)内のジャマン干渉計の言及

【干渉計】より

…したがって風洞中の流体計測や超高温プラズマ計測など大型実験に用いられている。
[ジャマン干渉計]
 ジャマンJamin干渉計は,干渉屈折計ともいわれており,干渉縞を気体屈折率の精密測定に利用するため,マイケルソン干渉計よりも以前に考案されたものである。2枚の厚い透明平行平面板のそれぞれをビームスプリッターおよびビームコンバイナーとして用いるものであり,図4のように構成される。…

※「ジャマン干渉計」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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