日本大百科全書(ニッポニカ) 「ジュウテリウム」の意味・わかりやすい解説
ジュウテリウム
じゅうてりうむ
deuterium
水素の同位体の一つ。質量数1のものを軽水素(プロチウムH)というのに対し、それ以外のものを重水素という。しかし、普通は質量数2のものをジュウテリウム(Dまたは2H)、3のものをトリチウム(Tまたは3H)といっている。
1931年、アメリカのユーリーらが、多量の液体水素を蒸発させた残りの水素のスペクトルにごく弱いバルマー線を認め、重い同位体によることを示した。プロチウムとの分離は気体の拡散も利用できるが、同位体効果が大きいので、水電解が有利である。10万分の1に電解濃縮すれば99%重水D2Oが得られる。トレーサーとして、中性子の減速材として原子炉に、また核融合反応の燃料としての用途が考えられる。
[守永健一]
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