ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「ジュフロワ」の意味・わかりやすい解説
ジュフロワ
Jouffroy, Théodore Simon
[没]1842.3.1. パリ
フランスの哲学者。 1813年エコール・ノルマル・シュペリュール (高等師範学校) に入りロワイエ・コラールとクーザンに師事。 16年学位をとり,17~22年同校で講義をし,22年の閉鎖のため一時新聞に執筆する。 28年よりソルボンヌ,コレージュ・ド・フランス (1833年よりギリシア・ローマ哲学の教授) で講義。 33年学士院会員。トマス・リードの仏訳全集 (28~36) をはじめスコットランド哲学を紹介し,みずからもその立場に立って唯心論的心理学を展開した。魂は物質とは異なる力であるが,環境より課せられた障害を乗越えるなかで人間は自由になり,人格性が形成される。魂を形成する諸能力を結集して初めて真理が獲得されるが,絶対的真理は個人ではなく常識によってしか得られない。美学では理性の対象たる美と感情の対象たる崇高を分け,人生の場面にあるのは崇高であるとした。また共感の概念を提出した感情移入美学の先駆となった。主著"Mélanges philosophiques" (33) ,"Nouveaux mélanges philosophiques" (42) ,"Cours d'esthétique" (43) 。
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