アッシニャ(読み)あっしにゃ(その他表記)Assignat フランス語

日本大百科全書(ニッポニカ) 「アッシニャ」の意味・わかりやすい解説

アッシニャ
あっしにゃ
Assignat フランス語

フランス革命期に発行された紙幣。1789年末、憲法制定議会は国有化した教会財産を担保に五分利付公債の発行を定めた。保証として、国有財産が「指定されている」assignerのでこの名がある。1790年8月末から利子が廃止されて不換紙幣として通用、5リーブル(フラン以前の通貨の単位)から100リーブルまで各種発行された。1792年春の対オーストリア開戦後、増発が続けられ、実質価値は下落し、1793年7月には額面の30%となった。山岳派経済統制で一時50%に回復したが、1794年7月テルミドール反動後から急速に下落し、1795年9月には3%になり、総裁政府は1796年3月ついに廃止した。この不換紙幣の乱発、インフレーションによる経済変動は、革命進展に大きな影響を与えた。

前川貞次郎

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

改訂新版 世界大百科事典 「アッシニャ」の意味・わかりやすい解説

アッシニャ
assignat

フランスで革命中の1789年12月,国家財政赤字を補てんするために発行され,革命暦4年プリュビオーズ(1796年2月)に廃止された紙幣。はじめは国有財産(革命により没収した教会財産)を担保として発行された5%の利子付債券であったが,紙幣として流通するようになった。しかし90年8月から無利子となり,やがて92年の革命戦争の開始とともに,膨大な国家支出を賄うのに,ほとんど無制限に濫発されたため,激しいインフレを引き起こした。特にジロンド派からジャコバン派政権が交代した93年上半期の革命の危機の時期には,パリでアッシニャは名目価格の30%にまで下落し,民衆生活の困窮を招いた。しかしその後,恐怖政治や戦況の好転により一時的に48%にまで回復したが,94年から再び下降に転じ,95年には名目価格の3%にまで下がった。その結果,たとえばパリの生活費は,1790年を100とすると,95年4月には900にも達した。
執筆者:

出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報

百科事典マイペディア 「アッシニャ」の意味・わかりやすい解説

アッシニャ

フランス革命期,1789年―1796年に発行された紙幣。最初は革命政府が没収した王室・教会・亡命貴族の領地を担保とする公債であったが,紙幣として流通するようになった。1792年からは担保の価値を越えて乱発され,インフレをひき起こして民衆の生活を困窮させた。発行停止時の1796年にはその価値は額面のわずか1%であった。

出典 株式会社平凡社百科事典マイペディアについて 情報

今日のキーワード

カイロス

宇宙事業会社スペースワンが開発した小型ロケット。固体燃料の3段式で、宇宙航空研究開発機構(JAXA)が開発を進めるイプシロンSよりもさらに小さい。スペースワンは契約から打ち上げまでの期間で世界最短を...

カイロスの用語解説を読む

コトバンク for iPhone

コトバンク for Android