改訂新版 世界大百科事典 「スターラプラニナ山脈」の意味・わかりやすい解説
スターラ・プラニナ[山脈]
Stara Planina
ブルガリアの中央を東西に走る山脈で,ブルガリア語で〈古い山脈〉の意。通称バルカン山脈。古称はアエモンAemon,ハエムスHaemus,ハエムHaem,エムスEmusなど多数。この山脈によりブルガリアの国土の約4分の1は高原となり,同時に南と北の二つの気候帯に区分されている。長さ530km,幅15~35km,最高峰ボテフBotev山(2376m)。中生代にできた褶曲山脈で,山頂は浸食されてなだらかな丸屋根型の稜線をなしている。北部は大陸性気候であるが,南部は暖かい地中海式気候となっている。山腹は放牧場となり,山麓で酪農が発達している。第2次大戦後山間にダムが建設され発電所ができた。また山間にはベルコビツァBerkovica,テテベンTetevenなど保養地が多い。
14世紀末,トルコ人に追われたブルガリア人はこの山間に移住したので,反トルコ独立運動の愛国者ハイドゥクたちをめぐる数々の民話や民謡が残されている。
執筆者:山本 敏
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報