日本大百科全書(ニッポニカ) 「ステロイド性骨粗鬆症」の意味・わかりやすい解説
ステロイド性骨粗鬆症
すてろいどせいこつそしょうしょう
glucocorticoid-induced osteoporosis
医薬品とくに副腎皮質ホルモン剤(ステロイド剤)の服用や使用を長く続けることによって起こる骨粗鬆症。略称GIO。ステロイド剤は、たとえ低用量の使用であっても骨量減少に伴って骨折リスクが増し、椎体(ついたい)骨折などの関連骨折を起こしやすくなる。一般に骨粗鬆症患者は女性に多いため男性患者が見落とされがちであるが、ステロイド性骨粗鬆症に限っては関連骨折のリスクは男性でもかなり高いとされ、高齢男性ではさらにそのリスクが高まる。ステロイド剤の副作用として使用者全体のおよそ25%に骨粗鬆症および関連骨折が認められ、国内のGIO患者はおよそ200万人いると推計される。
日本骨代謝学会は2014年(平成26)に、2004年版を改訂して「ステロイド性骨粗鬆症の管理と治療ガイドライン2014年改訂版」を発表した。この対象となる患者は従前のまま「経口ステロイドを3か月以上使用中あるいは使用予定の18歳以上の男女」とした。しかし専門医以外の一般医も日常的にステロイド剤の処方を行うことが多いことから、使用者の年齢やステロイド剤の種類および使用量などをもとに関連骨折のリスクを簡単に評価できる評価方法を提示し、処方に注意を促している。この評価方法は骨密度を測定せずに関連骨折のリスクを評価できる利点がある。骨折リスクに対しては、一般的な骨粗鬆症患者に準ずる食事指導や運動療法などを指導しつつ、薬物療法の開始時期を判断する。このガイドラインでは薬物療法開始の基準を、過去に骨折経験がある場合や、年齢やステロイド剤投与量および腰椎骨密度のスコアが一定基準を超えた場合とし、用いる治療薬とその効果についても具体的に示している。
[編集部]