日本大百科全書(ニッポニカ) 「スビンヒューブド」の意味・わかりやすい解説
スビンヒューブド
すびんひゅーぶど
Pehr Evind Svinhufvud
(1861―1944)
フィンランド第3代大統領(在任1931~1937)。船長の子として生まれ、法律関係の諸職につく。第一次ロシア化政策時には、自治国憲法を守ろうとして裁判所を解職されたが、地下組織の指導部で活動した。第二次ロシア化政策時には、シベリアに追放される。ロシア革命(1917)後解放され、最高指導者として代表団を率い、レーニン政権からフィンランド独立の承認を獲得。翌1918年のロシアの内戦では、白軍(反革命軍)政府を指揮した。白軍の勝利後、ドイツからの王による君主制を支持したが、ドイツの敗北とともにこの案は消滅した。のち政界を退き、民間で要職を務めたが、極右運動の高揚期に復帰し、1930年に首相、1931年大統領に当選。右派を支持基盤としたが、極右によるクーデター計画などには厳しく臨み、信望を高めた。国際連盟の弱体化に伴い、北欧三国が中立連合を目ざすようになると、それに同調する路線がとられた。社会民主党の入閣を拒否したことから1937年の大統領選では再選されなかった。第一次ソビエト・フィンランド戦争(冬戦争)終盤には枢軸国を歴訪したが、具体的な成果はなかった。趣味の射撃などで余生を送ったが、1944年第二次世界大戦の終結を前に死去。
[玉生謙一]