日本大百科全書(ニッポニカ) 「スペースガード」の意味・わかりやすい解説
スペースガード
すぺーすがーど
Spaceguard
地球に衝突するおそれのある天体や宇宙開発により生じたスペースデブリなどを観測・追跡して、衝突の回避や警報の発令などを目ざす活動。プラネタリー・ディフェンスplanetary defense(地球防衛)ということもある。
1994年の国際天文学連合第22回総会での議論に基づき、地球近傍の物体の観測を統括する国際的な組織の必要性が提言された。それを受けて国際スペースガード財団Spaceguard Foundationが1996年に設立された。本部をイタリアのフラスカーティに置くNPOで、全世界のスペースガード活動の拠点になっている。日本では、1996年(平成8)10月に設立された日本スペースガード協会(JSGA:Japan Spaceguard Association)が、JAXA(宇宙航空開発機構)などの協力を得ながら活動している。日本スペースガード協会では、美星スペースガードセンター(びせいすぺーすがーどせんたー)(岡山県井原市)と上齋原スペースガードセンター(かみさいばらすぺーすがーどせんたー)(岡山県鏡野町)で地球近傍の物体を観測している。美星では光学式の観測装置(1メートル光学望遠鏡など)を使い、地球に衝突するおそれのある天体(小惑星や彗星(すいせい)など)を観測・追跡している。上齋原ではレーダーを使い、軌道上のスペースデブリなどを観測・追跡している。双方ともさらに観測精度を高めるため、観測装置の更新の計画がある。
プラネタリー・ディフェンスとしては、もう一つ、地球に衝突する地球接近天体(NEO:Near Earth Object)が発見された場合に備えて、衝突回避方法の検討を行うことも重要である。そのために、NEOの物理的性質や衝突が回避できない場合の対策(軌道変更)や衝突時の被害を最小限にする方法など多岐にわたる議論・研究が続いている。
[編集部 2023年10月18日]