スミス都へ行く(読み)スミスみやこへいく(英語表記)Mr.Smith Goes to Washington

改訂新版 世界大百科事典 「スミス都へ行く」の意味・わかりやすい解説

スミス都へ行く (スミスみやこへいく)
Mr.Smith Goes to Washington

1939年製作のアメリカ映画。フランク・キャプラ監督作品。原作はルイス・R.フォスター(1900-74)の《モンタナから来た男》で,ワシントンリンカンを理想の人物として崇拝する田舎町の少年団の団長(ジェームズ・スチュアート)が,欠員になった上院議員に祭りあげられ,美しい女秘書(ジーン・アーサー)の協力をえて陰謀とたたかった結果,腐敗した政治の世界で民主主義の伝統的な理想と正義勝利を収めるという,アメリカ的な楽天主義が風刺と皮肉をこめて貫かれた物語。ヨーロッパで第2次世界大戦が始まった39年に公開されたとき,首都ワシントンでは上院議員たちを激怒させ,ロンドンでは駐英大使ジョゼフ・P.ケネディがこの映画を上映禁止にしようとして奔走したという。
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デジタル大辞泉プラス 「スミス都へ行く」の解説

スミス都へ行く

1939年製作のアメリカ映画。原題《Mr. Smith Goes to Washington》。監督:フランク・キャプラ、出演:ジェームズ・スチュワート、クロード・レインズ、ジーン・アーサーほか。第12回米国アカデミー賞作品賞ノミネート。同脚本賞受賞。

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世界大百科事典(旧版)内のスミス都へ行くの言及

【キャプラ】より

…シチリア生れ。1930年代に脚本家ロバート・リスキンとのコンビにより《一日だけの淑女》(1933),《或る夜の出来事》(1934),ゲーリー・クーパー,ジーン・アーサー主演の《オペラ・ハット》(1936),《群衆》(1941),ジェームズ・スチュアート,ジーン・アーサー主演の《我が家の楽園》(1938),《スミス都へ行く》(1939)など,平凡な市民の善意の勝利を〈モダンなおとぎ話〉として描き,〈アメリカの夢〉を楽天的にうたい上げた〈ニューディール・コメディ〉で一世をふうびし,4年間に3度もアカデミー監督賞を受賞(《或る夜の出来事》《オペラ・ハット》《我が家の楽園》),アメリカ映画の代表的監督となった。チャップリン,ロイド,キートンと並ぶサイレント映画の〈四大喜劇王〉の一人,ハリー・ラングドンの最高傑作といわれるスラプスティック・コメディ《初恋ハリー》(1927)やブラック・ユーモアの喜劇《毒薬と老嬢》(1944)の監督としても知られる。…

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