翻訳|Montana
アメリカ合衆国北西部の山岳州。面積38万1086平方キロメートル、人口90万2195(2000)。州都ヘレナ。北はカナダと接し、東をサウス・ダコタ州とノース・ダコタ州、南をワイオミング州とアイダホ州、西をアイダホ州と境を分かつ。主要河川のミズーリ川が州南西部から北流し、さらに東流する。北東部には全米最大の規模をもつフォート・ペック・ダムがある。西部には、州土の40%を占めるロッキー山脈が広がり、東部の残り60%が高地平原地帯である。気候は東西で差はあるものの涼しく乾燥した大陸性気候を呈し、冬の寒さが厳しい。地理的条件にもあまり恵まれず、全米第4位の面積規模のわりには人口は少なく、最大都市ビリングズでも8万9847(2000)ほどである。また、工業的発展の遅れはみられるが、農業、鉱業、林業、観光業が発達する。東部の平原地帯には小麦、大麦、ライムギ、ジャガイモの広大な畑が広がり、ウシを中心とした牧畜は農業収益の3分の2を占める。また、深い森林と峡谷、湖などを特徴とし、グレーシャー国立公園、イエローストーン国立公園をはじめ、釣り、狩猟、スキーのメッカであり、観光・行楽資源に事欠かない。かつての隆盛はみられないが、石油・石炭などの鉱物資源も豊富で、鉱業も州経済に重要な役割を果たす。クリスマス・ツリーの出荷地としても有名である。
1740年代にフランスの探検隊が入り、1803年のルイジアナ購入で州の大部分が、また46年のオレゴン条約で北西部が合衆国に渡る。63年にアイダホ準州の一部となり、翌年モンタナ準州を形成し、89年には第41番目の州となる。1867年から77年まで、先住者であるインディアンとの間に幾多の抗争が繰り返されており、とくに76年のリトル・ビッグ・ホーンの戦いはよく知られる。1880年に銅が発見されて世界一の銅生産地となり、83年のノーザン・パシフィック鉄道の開通によって急速な発展をみることになった。主要都市にはビリングズ、グレート・フォールズ、ミズーラ、ヘレナなどがあげられる。州名はスペイン語で「山がち」の意。
[作野和世]
アメリカ合衆国西部の農業州。略称Mont.。連邦加入1889年,41番目。面積37万6979km2で全米4位(日本よりやや広い)。人口98万9415(2010)。州都ヘレナ,最大都市ビリングズ。州名はスペイン語で〈山がちの〉を意味する。1803年のルイジアナ購入で州の東部が,46年のオレゴン条約で北西部が,それぞれ合衆国領となった。カナダ国境に沿う東西に長い州で,西半はロッキー山脈,東半はグレート・プレーンズの高原,台地が続く。山地部は湿潤大陸性気候と高山気候で,ダグラスモミ,松,カラマツなどの森林がひろがり,林業が営まれる。主産業は農牧業で,ステップ気候に属するグレート・プレーンズには,広大な小麦(春小麦)畑と肉牛,羊の放牧地がひろがるほか,大麦,ビート,亜麻の畑も見られる。州北東部には大不況期に建設された巨大なフォート・ペック人造湖(1940完成)があり,灌漑に役だっている。またビュートの銅鉱とアナコンダの銅鉱石精錬は有名で,石油,石炭などとともに鉱業は州の重要産業となっている。山地部高所には小規模な山岳氷河が見られ,州北西部にはグレーシャー(氷河)国立公園がある。モンタナはもともとアラパホ,シャイアンなどのインディアン居住地であった。1862年の金鉱発見後,白人が押し寄せ武力抗争がつづき,76年G.A.カスター率いるインディアン討伐隊は州南部リトル・ビッグホーン川のほとりでインディアンの大軍に遭遇し全滅した。
執筆者:正井 泰夫
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