改訂新版 世界大百科事典 「セイロンスグリ」の意味・わかりやすい解説
セイロンスグリ
Ceylon-gooseberry
Doryalis hebecarpa Warb.
熱帯や亜熱帯で栽培されるイイギリ科の常緑果樹で,高さ5~6mに達し,鋭いとげを有し,枝は下垂しやすい。葉は互生し,披針形ないし卵形で革質,長さ11cm,縁には鋸歯がないかまたはわずかに歯牙があり,裏面に細毛がある。雌雄異株で花はいずれも小さくて緑色,前年生の枝梢(ししよう)に着生するが,雌花は腋生(えきせい)。雄花は散形花序に群生する。果実は球形で径約2cm。果梗は長さ約0.8cm,果皮は栗紫色のビロード状,外観は美しく,一見大型のブドウの果粒を思わせる。果肉は帯紫色で甘く,爽快な酸味と芳香がある。若い果実はピクルスに,熟果は生食やジャムの製造に適している。インド,セイロン(スリランカ)の原産でフィリピン,台湾,ハワイ,北アメリカ南部などにも導入されている。
セイロンスグリ属Doryalisは10種あまりがアフリカやスリランカに分布し,果実が食用にされる種が多く,なかでもアフリカ原産のD.caffra Warb.(英名kei-apple)の黄色に熟す果実は多汁で,果物として栽培される。
執筆者:初島 住彦
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報