セウォル号

共同通信ニュース用語解説 「セウォル号」の解説

セウォル号

韓国北西部の仁川インチョン南部済州島チェジュドを週2回結ぶ定期旅客船全長約146メートルで幅約22メートル、6825トン。定員は約920人。韓国メディアなどによると、1994~2012年、日本国内の定期船「フェリーなみのうえ」として運航され、12年10月に韓国側に売却された。客室増設、定員を100人以上増やすなどの改造を施した後、13年3月に就航した。14年4月16日、韓国南西部の珍島チンド付近で沈没死者・行方不明者は302人。(共同)

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知恵蔵 「セウォル号」の解説

セウォル号

韓国の大型旅客船。2014年4月16日、乗客・乗員500人近くを乗せて韓国南西部・珍島(チンド)沖を航行中に沈没。避難誘導の怠慢によって死者、行方不明者300人を超える大惨事となった。
セウォル(世越)号は事故前日の15日夜、濃霧のため定刻より遅れて仁川(インチョン)から済州(チュジェ)島に向かって出発した。翌16日朝、珍島郡の観梅島(クヮンメド)沖の危険区間をほぼ全速力で航行中に、急旋回して船体が傾き始めた。管制センターに救助を求めたが数時間後には転覆した。傾いた船体や救助の様子は日本でもリアルタイムで報道された。その後、いち早く船から脱出した船長乗組員の様子が公開されたり、事故に関する虚実を交えた情報が連日流れたりしたことにより、安全管理のありかたについて問われることになった。
セウォル号は、集団自殺事件を起こした新興宗教団体と関わりの深い清海鎮(チョンへジン)海運が所有・運航する。船体は、かつて鹿児島航路に就航していた「フェリーなみのうえ」号を中古で買い取り、韓国で船室を増築するなどして、定員・排水量ともに大幅に拡大・改造されたものだった。これによって、重心が上がり復元力が低下したとの考え方もある。また、安全が確保される積載量に対し、事故当日は数倍もの貨物を積んでいたこと、そのために船を安定させる「バラスト水」を過剰に排水していたことや、積荷のコンテナ固定も不十分な状態だったことなど、安全を度外視した運航が事故につながったともみられている。
避難誘導についても極めて深刻な問題点が指摘されている。事故後に「その場を動かないでください」という船内放送が繰り返されたことで、修学旅行中の高校生など多数が逃げ遅れたとされる。弔問に訪れた朴槿恵(パク・クネ)大統領は「まるで殺人のようだ」と非難。光州(クァンジュ)地検は5月15日、既に逮捕されていた船長ら4人を殺人罪や過失船舶埋没罪などで、別の船員11人も遺棄致死罪や水難救護法違反などで起訴した。船長らは乗客に船内で待機する指示を出し脱出できない状況にしたことや、救護措置をとらなければ溺死(できし)する乗客がいると認識しながら死亡させた「未必の故意」があったと判断された。当局は常習的な過積載運航を指示した船舶運航会社の幹部を拘束し、海難事故を頻発させながら、海運会社の破綻(はたん)・設立を繰り返したオーナー一族などにも追及の手を広げて捜査を続けている。5月15日までに死者281人、行方不明者23人となっている。

(金谷俊秀  ライター / 2014年)

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デジタル大辞泉プラス 「セウォル号」の解説

セウォル号

韓国の客船。全長146.6メートル。総トン数6千825トン。旅客定員960人。もとは、1994年に日本で建造され、「フェリーなみのうえ」の名称でマルエーフェリーの鹿児島―沖縄航路に就航していた客船。2012年の引退後に韓国の清海鎮海運に売却、改造・改称を経て、仁川―済州航路に就航。2014年4月16日、韓国南西部の珍島沖にて転覆、沈没。乗客への不適切な避難誘導の結果、死者・行方不明者の合計が300名を超える大惨事となった。

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