セド祭(読み)セドさい

改訂新版 世界大百科事典 「セド祭」の意味・わかりやすい解説

セド祭 (セドさい)

古代エジプトのファラオ(王)が行った王位更新祭。セドsedの語義は不詳。即位後30年目に行われ,以後3年目ごとに繰り返されるのが原則だが,必ずしも厳密に順守されたわけではない。祝祭の本来の目的は,王の活力の回復にあり,王の活力と自然の豊饒とは共感関係にあるとされたため,一定期間在位した王は儀礼的殺害によって活力に満ちた存在として復活することが要求されたのである。このような慣習は現在もナイル上流の部族などにみられる。儀式の詳細は不明だが,ナイルの増水が終わって新しい生命の芽生える冬季第1月1日に始まり,その前夜に王像が埋葬され(王の殺害に代わるもの),当日は王の〈疾走儀礼〉(活力の証明),上・下エジプト全州の守護神列席の下での上エジプト王および下エジプト王としての戴冠式(臣侯たちによる臣従の誓いと貢物の献上,下賜品の授与を伴う)などがみられる。サッカラジェセル王の〈階段ピラミッド〉聖域内には,セド祭用の中庭と祭殿が再現されている。
執筆者:

出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報

今日のキーワード

カイロス

宇宙事業会社スペースワンが開発した小型ロケット。固体燃料の3段式で、宇宙航空研究開発機構(JAXA)が開発を進めるイプシロンSよりもさらに小さい。スペースワンは契約から打ち上げまでの期間で世界最短を...

カイロスの用語解説を読む

コトバンク for iPhone

コトバンク for Android