チタン酸ジルコン酸鉛Pb(Zrx,Ti1-x)O3のように強誘電性物質の粉体を焼結して得たセラミックスに強い電界を印加して分極処理したものは圧電性を示すようになる。セラミック圧電体の用途には,圧電着火,超音波発振,振動検出などがあるが,共振子として使う場合,特定の周波数の電波だけを選択的に通過させることができる。これはセラミックスによる電波のフィルターであるのでセラミックフィルターと呼ばれる。
このほか最近では,液体のろ過に使われる耐食性のよいアルミナ,シリカなどのセラミックスの多孔質体もセラミックフィルターと呼ばれるようになった。ビール,酒など発酵・食品工業に使われている。
執筆者:柳田 博明
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報