日本大百科全書(ニッポニカ) 「セレベスヒレアナゴ」の意味・わかりやすい解説
セレベスヒレアナゴ
せれべすひれあなご / セレベス鰭穴子
ordinary snake eel
[学] Myrophis microchir
硬骨魚綱ウナギ目ウミヘビ科に属する海水魚。南日本からオーストラリア、東アフリカからフィジー諸島のインド洋・西太平洋に広く分布する。日本での捕獲地は太平洋沿岸では三重県、大阪府、和歌山県、高知県、日本海沿岸では石川県、京都府、長崎県などに点在している。体は円柱状で細長く、後方に向かって細くなり、尾端でとがる。肛門(こうもん)は体の前30％以上に位置する。吻(ふん)はいくぶん丸く、鈍い。後鼻孔(こうびこう)は上唇の縁にあり、皮弁（皮質突起）で覆われる。口は大きく、上顎(じょうがく)前端は下顎前端よりも突出する。口の後端は目の後縁からはるかに後方まで伸びる。鰓孔(さいこう)は胸びれの基部の前に開く。上下両顎歯と鋤骨歯(じょこつし)（頭蓋(とうがい)床の最前端の骨にある歯）は円錐(えんすい)状で1～2列に並ぶ。目の後方の感覚孔は2個。背びれは胸びれの後縁上方より後方から、臀(しり)びれは肛門直後から始まり、尾端まで伸びて尾びれにつながる。小さい胸びれがある。体は茶褐色。臀びれの後端近くの縁辺部は暗色。全長は39センチメートルほどになる。アマモ場や浅海の泥底にすむ。食用価値はない。セレベスヒレアナゴはニンギョウアナゴ属Myrophisに属する。ニンギョウアナゴ属は尾びれと胸びれがあることで特徴づけられているニンギョウアナゴ亜科に属し、世界から5種が知られている。そのうち本種はもっとも広い分布域をもっているが、いくつかの種に分かれる可能性が指摘されている。
［尼岡邦夫 2019年11月20日］
[参照項目] |