日本大百科全書(ニッポニカ) 「ゼッフィレッリ」の意味・わかりやすい解説
ゼッフィレッリ
ぜっふぃれっり
Franco Zeffirelli
(1923―2019)
イタリアの演出家、舞台美術家、映画監督。ビスコンティらのもとで映画の助監督を務めたのち、1948年から1952年にかけて、テネシー・ウィリアムズ、チェーホフなどの作品によって舞台美術家としての地位を確立し、1950年には演出家としてもデビュー、1953年にロッシーニの『シンデレラ』でオペラ演出に転じた。さらに1960年にはオールド・ビックでの『ロメオとジュリエット』の野心的演出で国際的な称賛を受けた。その後もイギリスのストラトフォード・アポン・エイボンでの『オセロ』、オールビー、デ・フィリッポ作品などの演出、ミラノ、ロンドン、ニューヨークなどでのオペラ演出活動を続ける一方、映画監督として『ロミオとジュリエット』(1968)で脚光を浴び、以後『ブラザー・サン シスター・ムーン』(1972)、『ナザレのイエス』(1977)、オペラ映画『トラヴィアータ』(1982)などを発表。さらに『オテロ』(1986)、『ハムレット』(1990)などのシェークスピアもののほか、『尼僧の恋 マリアの涙』(1993)、『ジェイン・エア』(1996)などではロマンティックな世界を描き、『トスカニーニ』(1988)、『ムッソリーニとお茶を』(1998)などでは第二次世界大戦前の世界にも関心を寄せた。
[出口丈人]
資料 監督作品一覧
じゃじゃ馬ならし The Taming of the Shrew(1967)
ロミオとジュリエット Romeo and Juliet(1968)
ブラザー・サン シスター・ムーン Fratello sole, sorella luna(1972)
ナザレのイエス Jesus of Nazareth(1977)
チャンプ The Champ(1979)
エンドレス・ラブ Endless Love(1981)
トラヴィアータ La Traviata(1982)
オテロ Otello(1986)
トスカニーニ Il giovane Toscanini(1988)
ハムレット Hamlet(1990)
尼僧の恋 マリアの涙 Storia di una capinera(1993)
ジェイン・エア Jane Eyre(1996)
ムッソリーニとお茶を Tea with Mussolini(1998)
永遠のマリア・カラス Callas Forever(2002)
『フランコ・ゼッフィレッリ著、木村博江訳『ゼッフィレッリ自伝』(1998・東京創元社)』▽『高崎保男著『オペラの歓び』下(1998・音楽之友社)』