ナザレ(読み)なざれ(英語表記)Nazaré

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「ナザレ」の意味・わかりやすい解説

ナザレ
Nazareth

イスラエル北部地区中心都市。地中海岸ハイファの東南東約 30km,低地ガリラヤの南端,エスドラエロンの谷に面する丘陵上に位置する。イエス・キリストが少年期を過ごした町として新約聖書に初めて登場し,キリスト教の中心として繁栄。その後アラブ十字軍,トルコ人などの支配下で盛衰を繰り返したが,1948年イスラエル統治下に入る。「受胎告知」の聖堂などキリスト教の史跡多く果実や野菜など農産物集散地。1957年から建設された町の東方の隣接都市ナザレイリートには食品加工,繊維,自動車組立などの工業も立地。人口 6万4600(2006推計)。

ナザレ
Nazaré

ポルトガル中西部,レイリア県の漁港フェニキア人の後裔といわれる住民は独特の風習を残しており,特徴ある漁民衣装生活に根ざした宗教行事が多くの観光客を集める。時計製作の中心でもある。人口 9626 (1991推計) 。

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「ナザレ」の意味・わかりやすい解説

ナザレ(ガリラヤ地方)
なざれ
Nazareth 英語
Nazarét ギリシア語

ガリラヤ地方南境の町。『旧約聖書』、ユダヤの歴史家ヨセフス(37―100)の著作および『タルムード』には言及されていないが、『新約聖書』によればイエスの両親ヨセフとマリアの住んでいた所(「ルカ伝福音(ふくいん)書」1章26節以下)、研究者たちの所見によればイエスがバプテスマのヨハネから洗礼を受けるまで住んでいた(「マルコ伝福音書」1章9節)、彼の生まれ故郷である(「ルカ伝福音書」4章24節)。同地には「マリア受胎告知教会」があり、古い伝承によればヨセフの家の跡に同教会が建立された、といわれる。

[定形日佐雄]


ナザレ(ポルトガル)
なざれ
Nazaré

ポルトガル中西部、エストレマドゥーラ地方の町。大西洋沿岸にある漁港で、人口1万5060(2001)。全長2キロメートルの砂浜に沿う3集落からなる。フェニキア人を祖先にもつといわれる漁民の独特かつ色彩豊かな服装や、漁船、白壁の家に囲まれた小路が、海岸の地区と台地上の町を結ぶケーブルカーとともに、観光の対象となっている。12世紀の聖マリア寺院は有名。

[田辺 裕・柴田匡平]

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