その男ゾルバ(読み)そのおとこぞるば(英語表記)Vios kai Politeia tou Aleksi Zorba

日本大百科全書(ニッポニカ) 「その男ゾルバ」の意味・わかりやすい解説

その男ゾルバ
そのおとこぞるば
Vios kai Politeia tou Aleksi Zorba

ギリシアの作家カザンザキスの長編小説。1947年刊。原題『アレクシス・ゾルバスの生活と行状』。舞台はクレタ島海岸机上学問しかしたことのない青年貧鉱採掘を手がけ、結局失敗する。たまたま現場監督として雇ったゾルバなる素姓(すじょう)の知れない老人が、この青年に真の人間らしさとは何かを教えていく。世界各地を渡り歩いたゾルバの経験談には、作者の哲学ないし人生観が投影され、それがこの小説の骨子となっている。この作品は筋はごく単純だが、発表後ほどなくフランス語に翻訳され、世界的な反響をよんだ。64年にギリシアのカコヤニス監督によって映画化され話題となった。

森安達也

『秋山健訳『その男ゾルバ』(『東ヨーロッパの文学』所収・1979・恒文社)』

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デジタル大辞泉プラス 「その男ゾルバ」の解説

その男ゾルバ

1964年製作のイギリス・アメリカ・ギリシャ合作映画。原題《Zorba the Greek》。監督:マイケル・カコヤニス、出演:アンソニー・クイン、アラン・ベイツ、イレーネ・パパス、リラ・ケドロバほか。第37回米国アカデミー賞作品賞ノミネート。同助演女優賞(リラ・ケドロバ)、美術賞(白黒)、撮影賞(同)受賞

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世界大百科事典(旧版)内のその男ゾルバの言及

【カザンザキス】より

…これはホメロスの叙事詩の後日譚という形で,この英雄の遍歴をホメロスの3倍の分量にわたって書きつづった壮大な詩作品である。小説の分野でも傑作が多く,《その男ゾルバ》のタイトルで映画化(1965)された《アレクシス・ゾルバスの数奇な生涯》(1946)や,《再び十字架にかけられたキリスト》(1948)などは各国語に訳されている。精力的な旅行家で,35年には来日。…

【ギリシア映画】より

…主演女優はイレーネ・パパス。さらに彼はアンソニー・クインで《その男ゾルバ》(1965)を撮り,キャンディス・バーゲンで《魚が出てきた日》(1967)を撮ったが,彼の作風はしだいにギリシアの現実をはなれ,ハリウッド資本に頼ったこともあって一種の観光映画にすぎないとの評も出た。一方,マッカーシイズムでアメリカを追われたダッシンJules Dassinが,ギリシアにきてメリナ・メルクーリの主演で撮った一連の映画,《宿命》(1956),《日曜はダメよ》(1960),《死んでもいい》(1962)などがギリシア映画と呼べるか否かは微妙である。…

※「その男ゾルバ」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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