タフティ・バイ(英語表記)Takht-i Bahi

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「タフティ・バイ」の意味・わかりやすい解説

タフティ・バイ
Takht-i Bahi

パキスタン北部, ペシャワルの北東にある仏教寺院址。2世紀頃,ガンダーラ平野の小高い丘の上にクシャン朝カニシカ王が建立した寺院で,20世紀初頭にイギリスの考古学者によって偶然発見されたが,塔院,中院,僧院からなる伽藍の配置が判別できる形で残っていた。タフティ・バイとは「春の玉座」の意味で,塔院の中心には参詣の仏教徒たちが奉納した小ストゥーパ (仏塔) 35基の基壇が並ぶストゥーパの中庭があり,それを取り囲むように祠堂が並んでいた。祠堂の内部に設けられた壁龕 (→ニッチ ) には人間の形をした仏像がまつられていた。5世紀中頃,中央アジアのフン民族がこの地に侵入,仏教の聖地ガンダーラと仏像の揺籃ガンダーラ美術はともに滅ぼされたが,隣接する要塞都市サハリ・バロールとともに破壊を免れ,12世紀にイスラム教徒によって滅ぼされるまでタントラ仏教の中心地として栄えた。現在諸地の博物館に陳列されているガンダーラ仏の多くはこの地から出土されたもの。 1980年サハリ・バロールとともに世界遺産の文化遺産に登録。

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