日本大百科全書(ニッポニカ) 「タマヨ・イ・バウス」の意味・わかりやすい解説
タマヨ・イ・バウス
たまよいばうす
Manuel Tamayo y Baus
(1829―1889)
スペインの劇作家。俳優を両親に、演劇一族の子弟としてマドリードに出生、同地で死去。作品数は50を超え、ロマン主義的なものには、シラーの近代悲劇を脚色した『アンヘラ』(1851)や古典悲劇を復活させた『ビルヒニア』(1853)、狂妃フワナを主人公にした史劇で写実主義への接近過程を示す文体の『狂恋』(1855)がある。また、写実的なものには、嫉妬(しっと)を批判した『雪の球』(1856)や過度の物欲を戒めた『実利』(1863)などの道徳劇があるが、代表作は不義を主題にした『新作劇』(1867)で、劇中劇の手法を取り入れている。
[菅 愛子]