たらむ(読み)タラム

デジタル大辞泉 「たらむ」の意味・読み・例文・類語

たら◦む

[連語]《完了の助動詞「たり」の未然形推量の助動詞「む」》…ただろう。…ているだろう。…たような。
「人しげく、ひたたけ―◦む住まひは、いと本意なかるべし」〈須磨

出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例

精選版 日本国語大辞典 「たらむ」の意味・読み・例文・類語

たら‐・む

  1. [ 1 ] ( 完了の助動詞「たり」の未然形「たら」に推量の助動詞「む」の付いたもの )
    1. 動作・作用が完了した、あるいはその結果が継続している状態を推量する。…ただろう。…ているだろう。
      1. [初出の実例]「などか翁のおほしたてたらん物を心にまかせざらん」(出典:竹取物語(9C末‐10C初))
    2. ( 連体形だけの用法 ) ある完了または継続した事態を想定して表わす。
      1. [初出の実例]「比叡の山をはたちばかり重ねあげたらんほどして」(出典:伊勢物語(10C前)九)
    3. 話し手自身の動作を表わす語に付いて、ある状態を継続あるいは完了しようという決意意志を表わす。…してしまおう。…していよう。
      1. [初出の実例]「この障子口にまろは寝たらむ」(出典:源氏物語(1001‐14頃)空蝉)
  2. [ 2 ] ( 断定の助動詞「たり」の未然形「たら」に推量の助動詞「む」の付いたもの ) …であろう。…だろう。
    1. [初出の実例]「下として上にさかふる事、豈人臣の礼たらんや」(出典:平家物語(13C前)三)

出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報 | 凡例

今日のキーワード

苦肉の策

敵を欺くために、自分の身や味方を苦しめてまで行うはかりごと。また、苦しまぎれに考え出した手立て。苦肉の謀はかりごと。「苦肉の策を講じる」...

苦肉の策の用語解説を読む

コトバンク for iPhone

コトバンク for Android