タルペイア(その他表記)Tarpeia

改訂新版 世界大百科事典 「タルペイア」の意味・わかりやすい解説

タルペイア
Tarpeia

古代ローマの伝説上の女性で,ローマの守備隊長タルペイウスの娘とされる。初代の王ロムルス治下のローマをサビニ人が攻めた時,彼女は敵兵が左腕に着けた黄金の腕輪に惹かれて内通し,衛門を開いたが,約束の腕輪でなく左手に携えた楯を投げ重ねられ,圧死したという。細部に各種の異伝を含みつつ長く伝えられた。タルペイウスはユピテル神殿のそびえるカピトリヌス丘の古名(元は在地の神の名か?)で,丘の南側断崖が後までタルペイウス岩壁と呼ばれた。ここから突き落とす刑罰が古くは内通・偽証罪人に,帝政期には皇帝侮辱犯に課せられたので,刑罰と丘の古名から裏切り女タルペイアの伝説が生まれたのであろう。
ローマ七丘
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出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「タルペイア」の意味・わかりやすい解説

タルペイア
Tarpeia

ローマの建国伝説に登場する女性。ロムルス (→ロムルスとレムス ) によって建設されたばかりのローマが,チツス・タチウス王に率いられたサビニ人の軍勢攻撃を受けたとき,カピトリウム丘上の前衛の砦の指揮官の娘だった彼女は,敵の王に恋をし,または贈り物を約束されて,敵軍を砦に引入れたが,サビニ人たちは砦を占領したあと,売国の罪を罰するため,彼女の上に楯を積上げて圧死させたという。

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