化学辞典 第2版 の解説
タングステン酸ナトリウム
タングステンサンナトリウム
sodium tungstate
普通は,Na2WO4(293.82).テトラオキシドタングステン酸(2-)ナトリウム(通称,オルトタングステン酸ナトリウム)をさす.そのほか,多くのポリタングステン酸([別用語参照]ポリ酸)塩が知られている.Na2WO4は,WO3とNaOH,またはNa2CO3との混合物を加熱融解するか,Na2CO3水溶液にWO3を加えて溶かし,溶液を濃縮すると得られる.水溶液から析出する結晶は,6 ℃ 以下では十水和物,それ以上では二水和物になる.十水和物結晶は,6 ℃ 以上では不安定である.二水和物を100 ℃ に加熱すると無水物になり,さらに加熱するといくつかの変態を経る.無水物は立方晶系で,スピネル型構造.W-O1.82 Å.融点698 ℃.密度4.18 g cm-3.変態もある.二水和物は白~無色の斜方晶系結晶.Wは4Oと2H2Oによる正八面体型六配位.W-O1.79~1.88 Å.Naも6個のO原子に囲まれている.密度3.482 g cm-3.水に可溶.水溶液は pH 8~9.二水和物は乾燥空気中では風解する.織物の耐火加工,関連物質(ヘテロポリ酸など)の合成原料,おもに生物化学関係の試薬(アルカロイドの沈殿試薬など)に用いられる.[CAS 13472-45-2]
出典 森北出版「化学辞典(第2版)」化学辞典 第2版について 情報