改訂新版 世界大百科事典 「タンジャーブール」の意味・わかりやすい解説
タンジャーブール
Thanjāvūr
インド南部,タミル・ナードゥ州中東部の古都。旧名タンジョールTanjore。人口21万5725(2001)。カーベーリ川デルタの頂部にあり,同川の分流に面する。9~13世紀にチョーラ朝の中心都市として栄えた。16~18世紀にはビジャヤナガル王国,マラーターなどのタミルにおける根拠地となり,さらに1855年にはイギリス領に編入された。タミル伝統文化の中心地の一つ。南西部にあるシバ派の壮大なブリハディーシュワラ寺院はチョーラ朝のラージャラージャ1世(在位985-1016)により建立され,高さ72mの大塔をもつドラビダ様式の代表的寺院である。その北東方には16世紀の王宮が残る。手織絹布・綿布,民族楽器,金銀細工,ブロンズ製神像,水晶細工などの伝統工業は著名。周辺はタミル・ナードゥの穀倉地帯で,大アニカット用水路などにより灌漑され,米,綿花の産が多い。それらを集散するとともに,精米,紡績などの工業が立地する。
執筆者:応地 利明
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報