日本大百科全書(ニッポニカ) 「ダニノス」の意味・わかりやすい解説
ダニノス
だにのす
Pierre Daninos
(1913―2005)
フランスの小説家。パリ生まれ。ジャーナリストとして出発ののち、第二次世界大戦中はイギリス軍の連絡将校として活躍。『神様の手帖(てちょう)』Les carnets de Bon Dieu(1947。アンテラリエ賞)ののち、『トムソン少佐の手帖』Les carnets du major Thompson(1954)で名声を得る。イギリス人の目を通すという形式を借りてなされる、並のフランス人の生活風俗に対するユーモアと皮肉を込めた観察の鋭さにその本領がある。その後『トムソン少佐の秘密』(1956)、『トムソン少佐の第二の手帖』(1973)など一連のトムソン少佐もののほかにも、『ブロ氏という人』Un certain Monsieur Blot(1960)、『ダニノスコープ』Daninoscope(1963)、『旅行者貴族』Les touristocrates(1974)、『メイド・イン・フランス』Made in France(1977)、『陽気な寡夫』Le veuf joyeux(1981)、『フランスを真にうければ』La France prise aux mots(1986)、『40年間の休暇』40 ans de vacances(1993)など、多くの作品でユーモア小説の第一人者の座を占めていた。
[小林 茂]
『堀口大学訳『見るもの食うもの愛するもの――へそまがりの英米探訪』(1958・新潮社)』