ダルベルジンテペ(その他表記)Dal'verzin Tepe

改訂新版 世界大百科事典 「ダルベルジンテペ」の意味・わかりやすい解説

ダルベルジン・テペ
Dal'verzin Tepe

中央アジア,ウズベキスタン共和国スルハーン川流域のデナウ南方にある,前3~後7世紀の都城跡。南北約1km,東西0.5km。1967年までに,紀元前後の200年間バクトリア時代末期からクシャーナ初期の様相が,G.A.プガチェンコーワにより明らかにされた。また3世紀までのクシャーナ時代には多数の塑像が用いられ,他方この土地の信仰に由来する型づくりのテラコッタ女神像が出土している。塑像は都市の仏教寺院跡といわれる地点で出土し,巨大な仏像のほか,いわゆるハルチャヤーン式の塑像には,支配者たちを表したと考えられる世俗彫像もあり,アム・ダリヤ北方のバクトリア北部におけるクシャーナ時代とその前後の美術を代表する。しかし,ソ連邦発掘者が与えた年代はやや古すぎる点もあり,ガンダーラからバクトリアに及ぶ地域の美術史に,この遺跡がどう位置づけられるかは今後の問題である。
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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「ダルベルジンテペ」の意味・わかりやすい解説

ダルベルジン・テペ
Dal'verzin-Tepe

ウズベキスタンにあるクシャン時代の遺跡。 1960~68年に発掘。 1000m× 500mの城壁に囲まれ,発掘者の G.プチガチェンコワによると,前3~2世紀に形成され,7~8世紀に滅亡した。城壁址の北方 400mの地点で仏教寺院が発見された。天然の斜面を利用したもので,中央にストゥーパがあり,東側を除く三方廊下に囲まれていた。中からは多くの仏像断片が発見された。また 72年秋には,商人の家らしい住居址床下から重さ 35kgの黄金製品が発見された。クシャン時代の一領主の居城であったと考えられている。

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