改訂新版 世界大百科事典 「チェルトーザ修道院」の意味・わかりやすい解説
チェルトーザ修道院 (チェルトーザしゅうどういん)
Certosa di Pavia
イタリア北部のパビアの北約9kmにあるカルトゥジア会修道院。1396年ミラノ公ジャン・ガレアッツォ・ビスコンティ(ビスコンティ家)によって創建され,15~16世紀を通じてジョバンニおよびグイニフォルテ・ソラーリ父子,ジョバンニ・アントニオ・アマデオ,クリストフォロ・ロンバルドらにより建設された。大小二つの回廊,修道施設,教会堂からなり,ロンバルディア地方特有の装飾趣味を反映しつつ,正方形を基準とした合理的かつ幾何学的な空間配置をみせる。とくに小尖塔などにゴシック様式の残滓をとどめるとはいえ,飛梁を避けて垂直性を抑えた教会堂の建築造形は,ロンバルディア・ロマネスクに受容,継承された古典的意匠を復活させることにより,北イタリアのルネサンス建築の先駆となった。教会堂正面は色大理石と多数の彫像,円形装飾,二連窓で飾られ,堂内にはミラノ公ルドビーコ・イル・モロと妃ベアトリーチェの石棺,象牙製トリプティク(三幅祭壇飾),アンブロージョ・ベルゴニョーネの壁画など多くの作品が残る。1782年の廃院後,ナポレオン軍の進駐を受けたが保存状態はよい。
執筆者:日高 健一郎
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報