改訂新版 世界大百科事典 「チェロキー族」の意味・わかりやすい解説
チェロキー族 (チェロキーぞく)
Cherokee
北アメリカ南東部のアパラチア山脈南部地方に居住しているイロコイ系の言語を話すインディアン。隣接するクリーク・インディアンの言葉で〈異なる言葉を話す人々〉を意味する。農耕と狩猟が主要な食料獲得法であった。北アメリカの植民地建設の初期からヨーロッパ人と衝突したことで知られる。18世紀半ばにまずイギリス人植民者と戦闘状態にはいり,独立戦争当時にも植民者側と対立した。1820年代に独自の政府を樹立し,セコイアSequoyahによる〈チェロキー文字〉(アルファベットをモデルにした文字)の創出など,文化的にも栄えた。しかし,30年代に居住区域内で金鉱が発見され,土地を白人に売却せざるをえなくなった。38年から39年にかけての冬には,現在のオクラホマ州に設置された保留地へ強制移動させられ,その途中で4分の1の人々が死ぬという悲劇が起こった。この強制移動は〈涙の旅路Trail of Tears〉として知られる。現在,南東部に逃げ帰ったチェロキー族とオクラホマ・チェロキー族とに分かれている。
執筆者:小谷 凱宣
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報