指定居留地(読み)していきょりゅうち(その他表記)Reservation

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「指定居留地」の意味・わかりやすい解説

指定居留地
していきょりゅうち
Reservation

北アメリカにおいて,先住民族インディアン専用に特別に設置された居住区域。新大陸の先住民であるインディアンと,ヨーロッパ,特にイギリス人植民者との間には,接触の当初から土地をめぐる紛争が絶えなかった。そこでニューヨーク,マサチューセッツなどの各植民地は,先住民諸民族を特定地域に封じ込めることにより双方の安全を守ろうとした。アパラチア山脈以西の土地をインディアン諸民族のために保留すると宣言した植民地政府の布告 (1763) を受継ぎ,合衆国政府も初めはインディアンの諸権利を尊重する政策を打出した。しかし,19世紀に西部への発展が開始されると,政府はチェロキー族セミノール族 (1830) を皮切りに,南部の諸民族をオクラホマの指定居留地に移住させる強行策に転じた。オクラホマ指定居留地の住民は,やがて西部からの強制移住者を加えて,かなりの経済的繁栄を享受し,白人および黒人との混血も進めた。インディアン指定居留地は,その後アリゾナ,ニューメキシコ,サウスダコタカリフォルニアなど多数の州に設置され,19世紀末には 185ヵ所を数えた。 1887年のドーズ法制定により,指定居留地の半分以上が白人自営農民に分割されたが,1934年のインディアン再組織法などによって土地に対するインディアンの権利が回復あるいは再保証された。今日約 300ある指定居留地では,保護主義的な政策が次第に影をひそめて,真の自治が確立されつつある。

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