チェンマイイニシアチブ(その他表記)Chiang Mai initiative

デジタル大辞泉 「チェンマイイニシアチブ」の意味・読み・例文・類語

チェンマイ‐イニシアチブ(Chiang Mai initiative)

東アジア域内で緊急時に通貨安定のため外貨準備(主にドル)を融通しあう通貨スワップ協定東南アジア諸国連合ASEAN)および日本・中国・韓国の計13か国が参加。ある国が短期投機取引を繰り返す投機筋などから通貨を売り浴びせられ、為替レートが急落し、貿易決済や為替介入に必要な外貨が不足した場合、その国の通貨と引き換えに他国からドルを借り受けて買い支える仕組み。1997年のアジア通貨危機反省から、2000年5月にタイのチェンマイで開催されたASEANプラス日中韓の財務相会議で創設合意され、当初は二国間通貨スワップ取極のネットワークとして構築されたが、2010年に多国間通貨スワップ取極に移行した。資金規模は2400億ドル。CMI

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知恵蔵 「チェンマイイニシアチブ」の解説

チェンマイ・イニシアチブ

2000年5月にタイのチェンマイにおいて開催されたASEAN(東南アジア諸国連合)+日中韓蔵相会議で成立した、東アジアにおける経済危機発生時の自助・支援のための地域金融協力への合意。内容は、(1)域内の資本フローに関するデータ及び情報の交換をASEAN+3(日本、中国、韓国)の枠組みで促進する、(2)ASEAN5カ国(インドネシアシンガポール、タイ、フィリピンマレーシア)間に既に存在するASEANスワップ協定を全ASEAN加盟国を含み得るよう拡大する、(3)流動性供給のため、域内二国間のスワップ及びレポ取極のネットワークを締結する、からなる。(2)については同年11月に総額10億ドルで実現し、また(3)については日本は、韓国、マレーシア、タイをはじめ7カ国の間でスワップ取極を締結してきた。06年5月4日現在ではネットワークの総額は750億米ドル相当で16件の二国間協定が結ばれている。05年5月のASEAN+3財務大臣会合では「その有効性を強化する方策を検討するために」見直しを行い、また、(1)チェンマイ・イニシアチブの枠組みへの域内経済サーベイランスの統合と強化、(2)スワップ発動プロセスの明確化と集団的意思決定メカニズムの確立、(3)スワップ規模の大幅な拡大、(4)スワップ引出しメカニズムの改善を行うことで合意している。チェンマイ・イニシアチブは、IMFを中心とする既存の国際的支援制度を補完する地域的な枠組みとしての地位を着実に固めている。

(絹川直良 国際通貨研究所経済調査部長 / 2007年)

出典 (株)朝日新聞出版発行「知恵蔵」知恵蔵について 情報

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