( [英語] Association of Southeast Asian Nations の訳語 ) インドネシア、タイ、フィリピン、マレーシア、シンガポールの五か国が一九六七年結成した地域協力機構。その後、ブルネイ、ベトナム、ラオス、ミャンマーが加入。さらに一九九九年、カンボジアが加入し、加盟一〇か国によるアセアン10が発足した。本部はジャカルタ。略称ASEAN。
Association of South-East Asian Nations。略称ASEAN(アセアン)。域内の経済的・社会的基盤の確立と国家開発をめざす協力機構。1967年東南アジア連合(1961年成立,略称ASA。加盟国タイ,マレーシア,フィリピン)が発展的に解消して成立。加盟国10ヵ国(旧ASA諸国とインドネシア,シンガポール,ブルネイ,ベトナム,ラオス,ミャンマー,カンボジア)。事務局はジャカルタ。アジア・太平洋地域の安全保障問題を多国家間で協議するため,1994年以来ASEAN地域フォーラム(略称ARF)の場が設けられ,ASEAN10ヵ国のほか,日本・中国・韓国やアメリカ・ロシア・ヨーロッパ連合(EU)などの閣僚が会合,2000年には朝鮮民主主義人民共和国も参加し,加盟国・機構は23に及ぶ。ASEAN+3(日本,中国,韓国)の枠組みによる対話は,東南アジアと東北アジアの接点を強化する意味が大きい。また東南アジア友好協力条約(TAC,1976)は,ASEANの実質的な根拠条約であるが,2003年中国とインドが,2004年日本,2005年ニュージーランド,オーストラリアもこの条約に署名した。2003年バリでの首脳会議で2020年を目途とする〈東アジア共同体〉形成に合意し,2004年の〈ASEAN+3〉外相会議で〈東アジア・サミット〉の開催を決めた(2005年12月クアラルンプールで開催)。2009年財務相会合でインフラ整備のための〈ASEANインフラ基金〉創設を確認し,緊急時に外貨を融通する〈チェンマイ・イニシャチブ〉多国間基金への各国外貨準備の拠出額を合意した。80%は日本,中国,韓国が負担する。しかし日本とのASEAN全体とのFTA交渉は,2008年に日本・ASEAN包括的経済連携協定が締結されて以降進展せず,2010年に成立した中国・ASEAN自由貿易協定(ACFTA)が先行している。また,世界経済における東南アジアの比重が高まるにつれ,EUをはじめ他の経済圏からのアプローチも積極的に展開されるようになり,ASEANを中心としたアジア諸国とヨーロッパ連合(EU)加盟国およびヨーロッパ委員会との間で,1996年から2年ごとにアジア・ヨーロッパ会議(ASEM)が開催されている。中国が2015年に設立を目指すAIIBにASEAN諸国は一斉に参加を表明,ASEAN諸国からは日本の孤立化を懸念する声が出ている。→東アジア経済会議/ASEAN自由貿易圏/東南アジア非核地帯条約 →関連項目アジア・ヨーロッパ会議|雁行形態論|環太平洋経済圏構想|カンボジア|経済連携協定|ドイモイ|東南アジア|難民|日本|バーツ経済圏|ブルネイ|ベトナム|マレーシア|メコン総合開発|ラオス|リージョナリズム