チチメカ文化(読み)チチメカぶんか

改訂新版 世界大百科事典 「チチメカ文化」の意味・わかりやすい解説

チチメカ文化 (チチメカぶんか)

メソアメリカ後古典期(1000-1521)の代表的文化。大きく二つの流れに分けることができる。第1期のチチメカChichimeca文化は,現在のメキシコ,サカテカス州にトルテカ文化の影響を受けてメソアメリカ的な〈チャルチウィテス文化〉を生み出した。この文化は,マサパ式・類マサパ式土器,割石による建築などを特徴とし,10世紀ごろになると南へ向かって移動を始める。その移動の過程で,金・銀・銅の冶金術,唇飾,喫煙用パイプ,岩刻画などメソアメリカにはなかった文化要素を,おそらく太平洋岸で身につけてメソアメリカ各地へ広めていった。この第1期のチチメカ族の移動は,つねに破壊を伴い,破壊後定着して土着文化を変容させながらも,土着文化に吸収されていく集団も多かった。そして,定着するときに征服した集団の名称をチチメカ族のものとする習慣をもち,本来の部族名を失っていくことが多かった。第2期のチチメカ文化は,弓矢を持ち毛皮を着ただけの数多くのチチメカ集団が,先進文化地域へ移動してつくり上げた文化である。これらの諸集団は,おそらく第1期の先進文化をもったチチメカ族の移動に誘引されたのであろう。後続のチチメカ族は既存の都市を破壊するほどの力はなく,影響力のある物質文化ももたなかったが,先進文化の間で徐々にその文化を学び,のちにメソアメリカ文化を基礎としながらも,メシカ文化アステカ文化)など独自の文化を築いた。
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出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報

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